*いち

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  ――――――――――― ―――――― 「嫌だ!」 「や、拒否できることじゃねぇし。」 学校に着き、普通にB組に入ろうとする明仁を必死に止める。 そんな周りには見物客。 「ほら、目立つじゃん。」 離して。 と、俺の手を振り払う明仁。 薄情者め…っ 大体、目立つのは自分のせいだと明仁は自覚してない。 明仁と俺は、いつも一緒に居るから、必然的に俺も目立つ訳だけど。 「…お前ら何してんの。」 未だにぐだぐだしていた俺等に声をかけてきた誰か。 俺達はそっちを向いて、人物を確認する。 「…あ、由斗(よしと)。」 「ゆっとん!まじ助けて!俺、明仁と違うクラスなんだけど!」 「…明仁良かったな。」 冷めた目で俺を見た後、明仁にそう告げる由斗、またの名をゆっとん。 「どうも。由斗もEだろ?持ってって。」 「え、持ってって、って…」 扱い酷くない? 「仕方ないな…行くぞちひろ。」 遠慮なくE組に向かうゆっとん。 「え、ちょ…もーっ!」 仕方なく明仁から離れてついていく。 「ゆっとん!も少し気遣ってよ。」 追い付いたところで、声をかける。 「俺はゆとじゃなくてよしと。」 「…今はそこじゃないし。もー。」 初めて会った時、間違えて呼んだ名前。そこから俺は呼び方を変えない。 「…大体、お前らすぐ注目浴びるんだから控えろよ。」 「俺じゃなくて、目立つのは明仁じゃん。」 「…はぁ、まぁどっちでもいいけど。ほら着いた。」 そう言って立ち止まる。その先にはE組のドア。  
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