*いち

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  遠慮なく入って行くゆっとんに、ちょっと間をあけて俺も入る。 いや、流石の俺でも、初めては緊張するしね? 入るとそこは、別になんてことない教室な訳ですが。 「お、ちゃんと来たじゃん!」 「由斗とちひろ、おはよー。」 クラスは変わったものの、前同じクラスだった人が数人居て。 「おはよーう。」 そいつらの挨拶を適当にかわして、席につく。 「…元気出せー。」 俺の前の席に座ったゆっとん。 本名山城由斗(やましろよしと)。 前のクラスから、前後。 この発言は明仁のことだろうけど、棒読み感が否めない。 「…ゆっとんが居るしね。うん。」 これでゆっとん居なかったら俺死んでた。ってか無理。無理。 「そんな可愛いこと言われても、お前じゃテンション上がんね…」 「…酷い。」 励ましかと思えば、追い討ちかけやがって! 「クスッ、ごめんって。」 俺の表情を見て、笑った後謝られても… 「謝る気ないだろぶぁーか。」 「はいはい。ってか…」 「ちひろ君!」 ゆっとんの言葉を遮る、可愛い声。 確実に男のものではないと思いながら声の主を見る。 「…あ、はい。」 目に映ったのは女の子二人組。 見覚えはない…と思う。 「前から話してみたかったんだぁ、よろしくね?」 にっこり、と効果音がつきそうな笑顔。 「あー、うん。こちらこそー。」 なんとか微笑を浮かべながら応える。 「ありがとー!じゃあまたー。」 いそいそと去る二人組。 そんだけで話し掛けてきたのかよ…  
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