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『新谷さん、
どうされましたか?』
スピーカーから看護師の声が聞こえてきた。
「いや、何でもないんですけど、聞きたいことがあって……」
『わかりました。
今、行きますので。』
―――
1分も経たないうちに看護師が病室にやってきた。
「新谷和哉さん、ですね。
どうされましたか?」
やや年配の女性看護師が和哉に問いかける。
「おれはどうしてここに?」
「新谷さんは昨夜、お倒れになって救急車で運ばれてきたのよ。
多分、抗がん剤の副作用と過労が重なったのね。
午後には退院できるわよ。」
看護師は優しい口調で答えてくれた。
「そうですか……
ご面倒おかけしました。」
和哉は小さく会釈した。
「いいのよ。仕事だから。
あ、そろそろ点滴終わりそうですね。
あと5分くらいかしら。
また後で来ますね。」
そう言うと、看護師は病室から出て行った。
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