侵攻

2/19
前へ
/783ページ
次へ
  炎。 王国に最も近い為、世界で最も繁栄し、拡大された村カナタは、僅か数時間にして炎に包まれていた。 突然攻め入ってきた異形の軍団。 剛力を持ち、魔術を放つ彼らに非力な人間が敵う筈も無く、村は一瞬にして魔物に蹂躙された。 一面の炎により紅い鎧を更に紅く光らせたベリト公爵は、抵抗を続ける少数の人間たちを斬り捨てながら、王国の方向を見据えた。 ベリト「……騎士団が来ると……思っていたが……。何事も無しに……終わってしまった……。ゲホッ、王国は……お前たちを……見捨てたな……」 「そんな馬鹿な事がッ!」 一人の男が、焼けた棒を掴んで殴り掛かってきた。 動きの遅い公爵にそれを避ける術は無く、棒は鈍い音と共に公爵の頭を捉える。 しかし公爵は何事も無かったかのように男の腕を斬り落とし、その首を掴んで持ち上げた。
/783ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2017人が本棚に入れています
本棚に追加