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けど、それはこの世界での事。
元の世界に戻れば俺は世界、史上最強…"愛帝"だ。
実力は全帝であるギルドマスターや魔王をも凌ぐ。
「いつかは、元の世界に戻る日が来る。その時まで…ま、彼奴等と一緒に居たいなんて贅沢を望んでる」
「元の世界?」
あ、そうか。
優美さんはあくまでこの世界の住人…異世界なんて言葉は夢幻(ゆめまぼろし)な話だ。
「俺の住んでる世界は…所謂、剣と魔法のファンタジー世界そのもので…ギルドの任務中にトラブって気が付いたらこの世界に居た」
月を眺める。
綺麗だ、あれが宇宙にある太陽の光を反射しているのか不思議な感じだ。
寧ろ神秘的、って言った方が良いのか。
「淋しくない?」
「そりゃ、人の子ですからね……」
辛い、だろうな。
涼しい風が俺の長い髪をさらりと撫でた。
「さ、明日は仕事場に帰るんでしょ。寝不足はお肌にも健康にも悪いから、もう寝なさい」
「……お休みなさい」
優美さんはにっこり微笑むと、「お休み」と言ってその場を去った。
床に就く。
長い様で短かった1週間はあっという間だった。
こうして終った休暇は、俺にとって良い思い出になったと思う。
いつか元の世界に帰れる日を夢見て…。
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