I pink.

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「はぁ…鬱だ、死のう」 パラソルの日陰でぐてりと横になる俺。 暑いのは嫌いだ。 特に変態供の近くにいると余計にイライラする。 「泳がないのか?」 「来るな、熱血バカ」 レッドの癖に声を掛けてくるとは良い度胸だ。 俺は立ち上がって砂を払う。 「どうした?」 「散歩だ、散歩」 熱血バカのレッドは基本的にハーレムオーラがオート装備だから近寄りがたい。 つか、イケメンリア充の部類だから居たくないのが正直な気持ちだ。 リボンで結んだポニテが歩く毎にゆらゆら揺れる。 俺の髪の長さは半端じゃなく長い。 地面すれすれに近いからたまに踏んづける。 今では髪をばっさり切るのは忍びないから、先っちょをちょびちょびと切り揃える程度だ。 「にしても海、か」 どこか懐かしさを感じる。 「そうだな…ギルドの討伐クエストで行って以来か」 実を言うと俺はこの世界の人間じゃない。 剣と魔法のファンタジー世界の住人だ。 だから、メンバーの中で唯一魔法を発動させる事ができる。 伊達にギルド最強ランカーの「愛帝」を名乗ってはいない。 え、何故"愛帝"? そりゃ、魅了属性が得意だからだ…普段は嫌だから使っていないが。 『あらあら、黄昏ちゃって』 「茶化すなら喋るな、リリス」 「つれないのねぇ」 ほわりと隠す面積が少なすぎる黒い鎧を身に纏った悪魔が現れた。
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