1人が本棚に入れています
本棚に追加
した僕も同じ僕だけあって、唸って何も言わなかった。まさか彼自身もこんな自分が現れるとは思っていなかったらしく、汗を流して頭を掻き始める。
告白一つでこんなことになってしまうのだから、他のみんなは幸運だろう。別の世界の自分が現れることなんてなく、思ったままに行動できるのだから。僕は頭が痛く、果たしてどうするべきなのか渦巻く。
「だから告白してくれ!」
「いやそれでもやっぱり告白するな!」
「どうするんだ!?」
自分に追いつめられるなんてもう勘弁な話だったので、適当に決めてしまおう。どうせ嫌なことに彼女が恋人にならないことは確定しているのだから、どちらにせよ同じだ。ただどちらのルートに入ってしまうかの差なのだ。
「……しない、告白しない」
「ナイス判断!」
「な、何で!?」
二人が正反対のリアクションを取る。同一人物でも出来事だけでここまで変わってしまうものなのか。
「だって冷静に考えてみれば、僕はどちらにせよ恋人にならないんだろ。だったらちょっとでも楽な方向に行きたいじゃないか」
最初のコメントを投稿しよう!