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「ち、チキン……」
「でも君と違ってすでに君を知ってるんだから、そこまでは落ち込まないと思うよ。せいぜいちょっと後悔するぐらいかな? え?」
僕はちょっとひらめいた。これは間違いなく、ひらめいた。自分の言葉に違和感を感じてそこから思いついたのだった。
「ちょっと待てよ、二人ともはこういう状況になったの?」
少し首を捻ってから、横に振った二人。
「だったらさ、多世界的に解釈するなら僕はすでに第三の僕だってことじゃないの? 君たちはイベント前にこうなっていないんだから、違うルートなんじゃないのか?」
「どういうこと?」
「だから、した僕、しなかった僕、僕で流れるところが違うってことじゃないかな。した僕としなかった僕は限りなく近いけれど、僕は違うだろう」
そこでようやく「ああ」とため息にも混じった声が漏れた。
「ホントだ、した僕としなかった僕は君と違う」
「つまり、展開が違うんだよこのルートだと!」
そうだそうだ、僕はまた別の僕だったのだ。そのことが心にまた熱いものを取り戻す燃料になって、どんどん沁みわたっていく。
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