シュレディンガーの僕

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「あれ、どうしたのそのばんそうこう」 「ち、ちょっと階段から落ちて」    僕が浮かれていると、いきなり拳が飛んできたのだ。それも二発分。さらに同じところにクリーンヒットするというおまけつき。色々と衝撃的なものと痛さが相まって少しばかり記憶がなくなっていた。意外と自分のパンチは威力があるものだ。    とにかくちょっと浮かれてしまったけれど、僕はホントに僕に感謝している。した僕もしなかった(出来なかった)僕も、ちゃんと自分のことを考えてくれたのだ。結果がこうなるとは予想外だったようだけれども、それはそれで良いだろう。   「その、別の自分って信じる?」 「別の自分?」 「別の可能性の自分って言えば良いのかな? 例えば僕がじゃんけんで勝った僕だとして、別の僕は負けた方ってこと」 「うーん、難しい話だね」    するよ、告白。どうなるかはわからないけれど、するよ。まあもし失敗したとしたら二人みたいに世界を越えて、会いに行こう。すればまたそこのルートも変わるだろうし。無限数の僕たちがかかれば不可能なことはないはずだ。しかしせこい。   「いつもそんなこと考えてるの?」 「ううん、たまたま」
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