シュレディンガーの僕

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 それはそれはある日のことで、僕は胸に固い決心を持っていた。夏の終わりが一番成功率が高いと聞いていたので、あえてこの季節を待っていた。    それは僕ぐらいの年頃ならばやるであろう行動にして、とんでもなく身近で大きいこと。大人ならばもっと仕事のプロジェクトであるとか、企業買収とか色々あるであろうが、個人的にはそれに匹敵するのだ。    告白、だ。    漢字にして二文字、ひらがなにして四文字。しかしスケールはそれを遥かに超える。人生が決まってしまうかもしれない、いや決まってしまうと言っても過言ではない。と本気度が伝わってくれるほどにしつこく繰り返してみる。    僕は別に騙そうとしているわけでもないので明かしておくけれど、男である。こういうお話は結構オチとかに女の子でしたなんてものがあるので、そうじゃないことをあらかじめ。もちろん相手が男だとかそんな臭いこともしないのであしからず。ただの普通のどこにでもいる男子高校生の告白だ。    それでそれでこれからそれを実行しようと動き始めたところであって、すでに昨日に呼び出しは完了している。来てくれると約束しているので、一人待ちぼうけなんてとんでもない事態には発展しないはずだ。
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