シュレディンガーの僕

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 呆れているのか、感心しているのかわからない言葉を使って、僕が僕の目の前に現れた。そうか、ここは普通の流れで行くと「な、なんじゃお前はー!?」とかリアクションをしないといけないところか。それならそうで悪いことをしてしまった気がする。   「もちろん双子の弟でもないので、あしからず」 「ああそんなものの言い方、間違いなく僕なんだ」 「あっさり受け入れてくれてどうも」 「で、君はどういうこと?」    ほほう、よく訊いてくれましたと言わんばかりににやっとして、親指を自分自身に向ける。   「シュレディンガーの僕だ!」 「え、何? 猫じゃないの? 猫なら聞いたことあるけど」 「ふふふ、そう言うと思ったよ。しかし僕はあえて言う、シュレディンガーだと!」 「僕が考えそうなことで解釈をしてみると、なんだその、やっぱりわからない」    一体何が言いたいのかわからないので、とりあえず答えが出るのを待つことにした。反応がなければ自分から喋りだすのが僕であるはずなので、これが最善策だろう。   「そうそうわからないだろう。つまりだ、僕は“告白をした世界”から来たってことなのだ!」
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