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何一人でテンションが上がっているのだろうか、朝っぱらから声が大きい。近所迷惑だからもうちょっとボリュームを下げて欲しい。
「ああ多世界解釈から“シュレディンガーの僕”なのね。いやでも、おかしくないかそれ?」
「へ?」
「そもそもシュレデインンガーの猫は量子力学の考え方を批判することであって、別に君が告白をしたことはミクロな話と関係ないだろう。よく勘違いされてるけど、もし君がシュレディンガーを名乗りたいんだったらそうだな……」
「うるさいうるさい!僕ってこんなに理屈こねこねのうるさいやつなのか!?」
「残念だけど、そうみたいだね。気づけてよかったじゃないか」
僕、まぎらわしいから「した僕」と呼ぶことにして、した僕は何やら伝えたいことがあってやってきたみたいだ。
「もうめんどくさいから、単刀直入に。まだの僕よ、告白するのは止めるが良い」
「な、何でお前にそんなこと言われなくちゃならないんだ」
「僕は告白をした君だぞ。そんな僕が言うのだから答えは見えてるじゃないか」
「……フラレル?」
「それもあっさり」
今、ひどいネタバレを聞いた気がする、じゃなくて聞いた。こいつは僕の未来を確定してしまったのだ。
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