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「河野はそういうの気にしないのか？」
「ん、何が？」
「何がって、自分との関係で変な誤解が生まれる事にだよ。完全に誤解されているんだから今の内に払拭しとかないと、後でどんな噂が流れるか分かったもんじゃないぞ」
とはいえ、今更否定したところで逆効果になりかねないのだが、そこは河野の力量なら何とかなるだろうし。
もし気にするのなら早めに解いておけよと促していれば、そんな気遣いなど無用といった具合に。
「あー、別に良いよそんなの。私と八綻の間にいかがわしい関係も付き合いも無いんだし、誤解されても直ぐ違うってみんな分かってくれるし」
「分かってもらえるもんか？ いやそもそも、誤解されるって時点で嫌だろ普通は」
「私は嫌じゃないけどね。あ、それとも八綻君は私の事で変な噂になるのは嫌？」
首を少し傾げながら、上目遣いでそう聞いてくるのは反則だ。男子なら誰も、ここで嫌ですなどとは言えるハズはなく。
「いや、……嫌では無いです」
「嫌じゃ無いなら問題ないよね。はい、私は何も悪い事はしてませーん」
……してやられた、これでは何も言い返せない。まったく、一本取られてしまったような気持ちだ。
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