第一章

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第一章

「はぁ~……」  深い溜め息である。それは紛れもなく自分の物であり、今し方の状況から自然と出てしまっただ。  学校の放課後、夕方、前の席とをくっ付けて女子と対面しているという、聞くだけ聞けばある意味羨ましがられるシチュエーションかもしれないが。 「はぁ~……」  後から後から出て来るのは溜め息ばかり。溜め息1つにつき幸せを1つ取り逃すというなら、既に数十個単位を棒に振ってしまっているだろう。  何でこんな事になってしまったのだろうか? そう、自問自答しながら運命の巡り合わせに文句を言いたくなっていれば。  いい加減目の前で吐かれる溜め息にウンザリしたのか、対面に座る女子こと河野秀里(かわのひでり)は自分に叱咤してきた。 「もう、そうあからさまに溜め息吐かれるとやり辛いんだけど。そんなに嫌なの? 私と実行委員になった事」 「嫌じゃない。嫌じゃないんだが」  原因は別である。いや確かに、文化祭クラス実行委員なんて任されたのは面倒で嫌な気持ちはあったけど、溜め息を吐いているのはその件ではなく。  何に対して吐かざるを得ないのか、元凶たる河野に自分は言ってやる。
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