第一章

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「お前さ、朝の学活でクラス実行委員に立候補した時に言ったらしいな、『立候補する代わりに、もう1人の委員を八綻七翁(やころびなおき)君にして下さい』ってよ。  別に巻き込まれるとか手伝わされるのとか文句はない。お前にはあの時の大恩があるから、実行委員くらいならやってやろうとも思う」 「ん? じゃあ、それの何がいけなかったの?」 「本人の許可なく巻き込んだ事が悪いって言ってんだよ!」  しかも名指しである。堂々とクラスメートの前で指名しやがったとか、正気の沙汰とは思えない行為をしやがって、おかげでこちらはいい迷惑を被っている。  河野英里。ちょと脱色して茶色に近い髪は背中まで伸ばしており、スタイルは細めで胸囲などは平均的で、身長も平均くらいしかない。  顔も普通、運動神経も普通、趣味は読書といった平凡を形にした少女。悪くは無いけど特徴も余り無い、そんな平均的な彼女なのだが。  どこか行動に常識が足りておらず、時には自分を巻き込んで盛大にやらかしてしまう事が多かった。そこだけはとても普通の少女とは呼べなくて。  そして一番質(たち)が悪いのは、今朝も盛大にやらかしてしまったというのに。
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