第一章

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「だから、別に悪くは無いよね。どうせ八綻君は手伝ってくれるんだから、私が推薦したところで何も変わってなんかいないもの」  本人に罪の意識が欠片も無いってところなのだ。これを真顔で、私は悪くない! と主張するのだからまた溜め息が出る。  何も変わってなんかいない。いいや河野、名指しなんかしなかったら全然違った事になっていたからな。  少なくとも。自分達に向けられる周りからの冷ややかな視線は、ここまで露骨に酷かったりはしなかっただろう。  アイツ等出来ているんじゃね? うっそ、マジィ? 地味な2人とか超お似合いなんですけど。とか。  聞こえてはいないけれど、陰で言ってそうなのだから非常に嫌な気分だ。嫌過ぎて、大恩とか放ったりして今すぐ逃げ出したくなりそうで。  だけど逃げずに、こうして文句を直接ぶつけたというのにこれである。自覚とか責任とか、河野がもう少しだけ意識してくれたら有り難いのだが。  この少女がそんな事出来る分けがないと、2年間付き合った中で十分に思い知らされてきたのだから。  ありったけ言いたい文句を、河野でも分かり易いよう直接ぶつけるしかない。
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