儀式

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「沙織ちゃん、最初に彼女の遺体を発見したのは誰なん」 「警察の人が、第一発見者はマンションの管理会社の人だって言ってた」 管理会社の人間が何故・・・ 何か問題でも起きない限り管理会社の人間が部屋を訪ねて来るとは考えられない。 「あのね、なんか知らんけど、管理会社に匿名で通報が入ったらしい、広ちゃんの部屋の様子が怪訝しいって」 「匿名で、通報・・・」 「うん、それで管理会社の人が調べに来たら広ちゃんの遺体が、全裸で、でも乱暴された形跡はなかったって、遺体はベッドの上で眠る様に亡くなってたって」 沙織のその先の話しは嗚咽混じりで殆ど聞き取れない、しかしそれで僕には充分だった、充分理解出来る、広子が何故死んだのか。 広子は自ら望んだのか、それとも唆(そそのか)されたのか、それは僕には判らない。 しかし広子は、それまで彼女が誰に対してもして来た様に、和也の欲望をも受け入れたのだろう。 彼女はタブーを侵した。 決して侵してはいけない領域に足を踏み入れてしまった。 踏み越えてはならない場所にまで、彼女は足を踏み入れてしまったのだ。
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