プロローグ

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「まったくお前らという奴らは・・・・・・吉井にはいくら罰を与えても全然懲りないな」 「先生、それはただ単に明久に学習能力が足りないだけです」 「酷い!?それに僕は遅刻はあまりしてないですよ!!」 まあ確かにな、そこの所は西村先生は去年俺達、詰まりは吉井明久と野中蓮の担任だったからわかっているだろう。 明久の学習能力がないのも。 「遅刻は、な。ほら受け取れ」 先生が箱から二つの封筒を取り出し、俺に差し出してくる。俺の封筒の宛名の欄には『野中蓮』と、大きく俺の名前が書いてあった。 「あ、どーもです」 「お、ありがとう鉄じ西村先生」 「おい野中、鉄じ西村とは誰だ」 「鉄じ西村?誰ですか?新手の鉄系漫才師ですか?」 ツッコミの時に鉄製の物を使ってつっこんだらさぞかし相方は痛いだろうな。 話題を変える為に脳をフル回転しようとするが、その前に明久がフォローを入れる。 「それにしても、どうしてこんな面倒なやり方でクラス編成を発表してるんですか?掲示板とかで大きく張り出しちゃえばいいのに」 まあ確かに、こうやっていちいち全員に所属クラスを書いた紙を渡すとか、ご丁寧に一枚一枚封筒に入れてあるし、逆に面倒なだけだと思うのだけど。 「普通はそうするんだけどな。まぁウチは世界的にも注目されている最先端システムを導入した試験校だからな。この変わったやり方もその一環ってワケだ」 「ふーん。そういうもんですかね」 適当な相槌を打ちながら、明久は封に手をかけている。 多分俺をフォローするだけだったのだろう。特に興味なさそうだ。 まあ俺もないけどよ。 実は俺もクラス振り分けには楽しみだった。 頭の良い奴からABCって感じで平均はDEって感じ。頭の悪い奴は1番下のランク。詰まりはFクラス。といった具合だ。 詰まり、所属しているクラスだけで、その人間の頭が良し悪しがわかってしまう。 男のプライドってモノがある奴にとってのFは避けたいだろうな。 「吉井、今だから言うがな」 ペリペリと頑丈にのりづけされている封筒を開けながら、鉄人と明久の会話を聞いてみる。 「はい、なんですか?」 「俺はお前を去年一年見て、『もしかすると、吉井はバカなんじゃないか?』なんて疑いを抱いていたんだ」 疑いを確信を変える時は今だ鉄人!!なんて言わない。
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