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「……ふふ、今日もいいキレだね坂無」
2、3回ゴム鞠のごとくバウンドした男性は、緩々と立ち上がり若干引きつった微笑を浮かべながら坂無さんへと目をやる。
坂無さんははんっと鼻を鳴らすと、手近にあったイスに乱雑に腰掛けて僕の方を指差した。
「んなことより石井よぉ、連れてきたぜアイツ」
「おぉ、そうだったね。始めまして、になるのかな?藍原奏輔君」
「あ、どうも……」
「こっちにどうぞ、色々と話したいこともあるしね」
「はぁ……」
坂無さんに石井と呼ばれた男性の指示に従い、坂無さんの隣に腰掛ける。
石井さんは僕が着席したのを確認して、こほんと一つ咳払いをした。
「まずは、良く来てくれたね藍原君。私の名前は石井和仁、この対DQN戦線『虹幻』のリーダーを務めている。以後、私の事は和仁と呼んでくれたまえ」
石井さん、もとい和仁さんはそう言って、僕に向けて手を差し出した。
その手を握り返しながら、僕はふと気になったことを問うてみる。
「あの、和仁さん。今『対DQN戦線』だとか言ってましたけど……それってどういう意味なんですか?」
「……あれ?坂無に聞いていないのかな?」
と、首を傾げる和仁さん。
僕が首を横に振ると、一度しかめっ面をした後、和仁さんは深々と溜息を吐いた。
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