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◆ ◆ ◆
「……そう、遂に彼が」
「あぁ、動いた。こうなる前に止められればよかったんだが。思わぬ邪魔が入ってしまってな、すまない」
「仕方ないわ、彼にちょっかいを出したんだもの、彼女が動くのは至極当たり前のことよ」
「……そうだったな、それを失念していたよ」
「失敗してしまったのは惜しいけど、まだこれで終わりではないしね。これでダメなら次の手を打つまでよ。戦いとは常に相手の二手、三手先を読むものだって、ね」
「もしそれすらも奴の書いたシナリオ通りの展開なら、笑えないがな」
「そうね、その可能性もあるわ。でも、それが相手の仕掛けた罠だというのならそれを正面から打ち破るまで。私達に後退の二文字はないのだから、やるしかないのよ、ここまで来たら」
「そうだな……」
「何度かタイミングを見計らって彼にコンタクトを取ってみるわ、彼を奴の思い通りにはさせられないものね……」
コンダクター
「【指揮者】、か。厄介な敵だな」
「すべては彼の描いた曲の一部……なんてね。笑えない冗談はやめましょうか。今の私達にはそんな暇はないもの」
「論ずるより動け、だな」
「えぇ、よろしくね。私も出来るだけ動いてみるわ」
「あぁ……」
「すべては清き正常なる世界の為に。【指揮者】の思い通りには、させないわ……」
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