何かあったら大体こいつのせい

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話を元に戻しましょうか。 黒いボサボサの寝癖髪に17歳相応の身長、一年を通して無地のシャツに長ズボンというオシャレとは無縁の服装。気だるそうな雰囲気は、時として他者を苛立たせるという、あまり好印象の持てない少年であるジャック。 そんな彼は、いきなり職に就くのが何となく嫌だった。理由は特にない。強いて言えば気分である。 「わかいい子には旅をさせよ、と言うだろうが」 「わかいいって何だよ、腹立つ。ザギンでシースーみたいに言ってんじゃねぇぞ、腹立つ。とにもかくにも腹立つ」 「うっせぇどら息子!大事な事じゃねえのに三回も言いやがって!腹立つ!!これくらい力入れて言いやがれ、腹立つ!!」 「お前だって二回言ったじゃんかボケ親父、腹立つ!!」 「パパに向かって何だその口の聞き方は!腹立つ!!勇者から話を逸らすな、腹立つ!!」 「腹立つぅ!!!!」 「腹立とぅうぅうう!!!!」 「腹立っつぅううぅうぅう!!!!」 「もっと腹に力入れて!!」 「はああああるぁああああとぅああああつううううん!!!!!!!!」 とまあ、話の大脱線を繰り広げるブライアン父子。勇者の話が出てきたのはこれより三時間程経った頃だった。
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