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「……でだ。お前ももう17歳。職に手をつけてもバチは当たらん。むしろ働き者のいい子だと世間は見てくれるはずだ」
腕を組み、机を挟んで椅子に座るロイ。そして対面に座り、何かを考えるようにうつ向くジャック。落ち着きを取り戻して真剣に話しているようだ。
「でもよ……それなら別に勇者以外の仕事でもよくないか?店員とか運送業とかさぁ……」
「甘い。甘いぞジャック。勇者業は待遇いいんだぞ。タダ飯食えるし、何かカッコカワイイ狼とかポケ●ンみたいに使えるようになるし、他もろもろ」
「もろもろって何さ。パンモロなのか?」
「モロよりチラ、チラよりスッポンポンだろが。とまあそれはともかくだ。勇者は給料も高い。依頼をこなせばそれなりにボーナスも出る。良いとこづくめだぞ」
とにかく息子を働かせたいロイ。ジャックは意志が強い方ではない事を考え、勇者業の利点ばかりを挙げては「どうだ?」とばかりに片眉を上げる。
それに対し、ジャックの気持ちはロイの思惑通り、少しずつ揺らぎ始めていた。タダ飯、ポケ●ン、高給。それらの言葉が魅力的に聞こえ、彼のニート精神を削り取り始めていた。
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