序章、

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 そうだ。  そうだ。  そうだそうだそうだ。  ぼくは殺されたんだ。  頭がひどく重たくて、呼吸している実感がないのに苦しい。意識が遠退いていく瞬間の感覚が蘇る。ぼくはこのまま永遠にたゆたい続けるのか。それとも消えてしまうのか、嫌だまだ消えたくない。  (誰か、誰か――)  必死に叫ぼうとするが喉からは息ひとつ漏れてくれない。絶望に目を見開いた直後、身体が微かにぶれ、泥状になった闇に突然両足がずぶりと沈んだ。    
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