第二問 『弁当と協力要請』

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「ところで島田さん。その手についてるあたりにさ、さっきまで虫の死骸があったよ」 明久、島田を退場させるきか。やさしいとこあるじゃねぇか。 「えぇっ!?早く言ってよ!」 「ごめんごめん。とにかく手を洗ってきた方が良いよ」 「そうね。ちょっと行ってくる」 席を立つ島田。 「島田はなかなか食事にありつけずにおるのう」 「全くだね」 そういって、みんなで朗らかに笑う。 一方、その後ろでは作戦会議を開いていた。 (明久、今度はお前がいけ!) (む、無理だよ!消化器官が退化してる僕だったらきっと死んじゃう!そうだ裕介がいきなよ) (いや、ここは遠慮しとくよ。一口食べて倒れない雄二ならまだいけるんじゃないか?) ムッツリーニは倒れているが雄二は倒れていないからな、多少はいけると思う。 (そうだよ雄二がいきなよ!姫路さんは雄二に食べてもらいたいはずだよ!) (そうかのう?姫路は明久に食べてもらいたそうじゃが) (む、そういわれると俺もそう思うな) (そんなことないよ!みんな乙女心がわかってないね!) ((お前に言われたくない)) (ええい、往生際が悪い!) 「あっ!姫路さん、アレなんだ!?」 「えっ?なんですか?」 俺は姫路が視線をはずした隙に雄二の後ろに回りこむ。 (貴様裏切りか!) (ここは結果的に俺が食うことにならなければいいんだよ!) (おらぁっ!) (もごぁぁっ!?) 明久が雄二の口の中一杯に 弁当を押し込む。 目を白黒させているので、明久と協力して咀嚼するのを手伝ってあげる。ご飯はよく噛んで食べないとね。
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