第八問 『恐怖の鬼ごっこ』

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桜の花びらが坂道から徐々に姿を消し、変わりに新緑が芽吹き始めたこの季節 新年度最初の行事である『清涼際』の季節がやって来た。 今はその準備の為のLHR(ロングホームルーム)の時間だが我らFクラスはーー 「吉井!こいっ!」 「勝負だ、須川君!」 「お前の球なんか、場外まで飛ばしてやる!」 校庭で野球を楽しんでいた。 「言ったな!?こうなれば意地でも打たせるもんか!」 明久が雄二のサインを見ている。 俺は次バッターだ、俺は雄二のサインをよく観察する。 (次の球は) (カーブを) (バッターの頭に) 確かにそれなら場外にはいかないが・・・それでいいのか? 「それ反則じゃないの!?」 さすがの明久もやりそうにないか。 「ピッチャーびびってる!ヘイヘイヘイ!」 俺はとりあえず明久を煽ってみた。 「なにっ!?僕はやるぞ!」 なんという煽り耐性の低さだ・・・ 「貴様ら、学園祭の準備をサボって何をしているか!」 怒髪天をつく勢いで俺らの担任になった鉄人が校舎内から走ってきた。 「ヤバい!鉄人だ!」 雄二がそう叫び、逃げ出す。 『『『散開!』』』 俺もそれに続き逃げ出す。 「吉井!貴様がサボりの主犯か!」 「ち、違います!どうしていつも僕を目の仇にするんですか!?」 そういって明久が反論してる。明久おまえのおかげで俺は逃げ切れそうだよ。 ふと雄二をみると、 (フォークを 鉄人の 股間に) そのサインはさすがに実行されないだろう・・・ そしてなんでわざわざフォークにしたのだろうか? 「全員教室へ戻れ!この時期になってもまだ出し物が決まっていないなんて、うちのクラスだけだぞ!」 学校のガラスを震えさせるほどの鉄人の恫喝が響き、みんな教室に戻っていった。
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