第八問 『恐怖の鬼ごっこ』

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・・・ 俺が教室に戻ったときには、もう明久と雄二はもう教室に戻っていた。 「お、雄二に明久。無事だったか」 「うん、なんとか逃げ切ったよ」 「自分だけうまく隠れやがって!」 雄二は俺に文句をぶつけてくる。 「まぁまぁ、おまえらだって俺の立場ならそうしただろう?」 「まぁな」 「ならいいじゃないか」 「そんなことより、不知火!」 島田がなんかすごい険相で話しかけてくる。 「な、なんだ?」 「あんたどうせ学際暇なんでしょ?クラス手伝いなさいよ!」 「嫌だよ、暇だから手伝うなんて・・・するのが嫌だから暇にしてるっていうのに」 「島田、頼み方が違う」 頼み方?雄二が俺にお願いしてくるのか?予想外に笑える展開だな。 「裕介、友里に電話してここに来てもらっていいか?」 は? 「ゆ、雄二それは何の冗談だ?」 俺は笑いながら問いかけるが、自分でも顔が引きつってるのがわかる。 「いやー、ちょっと野暮用があってな」 雄二は顔をニヤニヤさせながら俺に話しかける。 「・・・」 そんなことしたら翔子もくるだろ・・・? いや、こんなこと言うなら、さっきこいつは翔子にちょっとしたことで追いかけられてただけかもしれない。 だが、俺は違う。 今は捕まったら結構やばい。ちょっと友里の怒りが風化してもらわないと話にもならないと思う。 「さぁ、電話でもするかな」 雄二は携帯をいじりながら立ち上がる。 「雄二・・・待て、俺もクラスに参加してやるから用事はあとでにしようぜ」 「そうか!悪いな!」 こいつ絶対悪いと思ってないよな。 「雄二すごいね、裕介を丸め込むなんて」 明久は感心してるみたいだが・・・ 「そうだな、相手の弱みにつけこむ人間としてどうかと思う手だったな」 と俺は皮肉る。 「そんなに褒めるなよ」 俺はまったく褒めてない。
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