第十問 『サボタージュ』

2/11

381人が本棚に入れています
本棚に追加
/110ページ
今日は清涼祭初日の朝 カーテンの隙間から朝日が俺の部屋に入ってくる。 「あぁ・・・、いい朝だ」 俺はふと時計を見る。 いつも通りの遅刻確定9時だった。 「俺の遅刻癖はいつかなおしたいなぁ」 これではいつかいろいろ困ることになりそうだ。 「まぁ、明日から頑張るか」 「さぁ、急いで学校に行きますか!」 俺はゆっくり歩きながら学校に向かった。 言動と行動が一致してないが気にしない ・・・ 「裕介、遅刻だよ?」 教室に入った俺はまず明久にそういわれる。 「まぁまぁ、いつものことだろ?」 みんなも遅刻してくるって思ってただろう。 だが、そんなことより 「すごいな。結構うまくできてるじゃないか」 教室は小汚い様相を一新して、中華風の喫茶店に姿を変えていた。 「ま、見かけはそれなりのものになったがの。その分、クロスを捲るとこの通りじゃ」 秀吉がクロスを捲る。すると、そこ下には見慣れた汚い箱があった。 「これを見られたら店の評判はガタ落ちね」 島田の言う通りだな・・・ 「きっと大丈夫だよ。こんなとこまで見ないだろうし、見たとしてもその人の胸のうちにしまっておいてもらえるさ」 「そうですね。わざわざクロスを剥がしてアピールするような人は来ません、きっと」 ま、Fクラスだからわざわざ営業妨害なんて来ないだろうしな。 「・・・飲茶も完璧」 いきなり後ろから響くムッツリーニの声。存在感消すのが巧すぎるな・・・さすがだ。 「ムッツリーニ、厨房の方もオーケー?」 明久が問いかけると、 「・・・味見用」 そう言ってムッツリーニが差し出したのは、木のお盆。上には陶器のティーセットと胡麻団子が載っていた 「おお、美味そうだな」 「土屋、これウチらが食べちゃっていいの?」 「・・・(コクリ)」 「では、遠慮なく頂こうかの」 女子達が手を伸ばし、作りたてで温かい胡麻団子を勢いよく頬張る。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

381人が本棚に入れています
本棚に追加