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「こ、この上ない屈辱だ・・・!」
「明久、存外似合っておるぞ」
秀吉は男子トイレで俺たちの着付けとメイクをたった数分でやってくれた。凄い、凄いが全くもってありがたくない。
「では、ワシは喫茶店に戻るぞい。存分に悪党をのしてくるが良い」
「ん。りょーかい」
明久はそう開き直ってるが、普通の人が簡単に女装に慣れるはずもなく、
「俺はもう駄目だよ。生きていけないよ。今すぐ学校の屋上からダイブするよ」
俺は完璧に鬱になってた。
「裕介よ、おぬし元がよかったからの。本当に美人さんにみえろぞい」
「そうだよ。一目見ただけじゃ元が裕介だってわからないし、すごく美人さんに見えるよ?」
明久も秀吉も褒めてくれてるみたいだが、
「それはうれしくないよ。俺もう駄目だよ。これを他人に見られたら軽く死ねるよ」
「ほら、裕介いくよ!」
明久が引っ張ってくる。
「やめてくれー、俺はこんなになるとは思ってなかったんだー」
確かに二人の言う通り、俺がもし俺がこの外見の人に会ったら綺麗だって思うであろうほどの美人さんに変わってた。
しかしだ、もしこれをみんなに見られたとしたらなにを言われることやら・・・
想像しただけで鬱になるよ。
「秀吉、後生の願いだ。助けてくれぇ」
「頑張ってくるのじゃ」
俺の願いも儚く、秀吉が笑顔で見送ってくれた。
あれ?もしかしてあの笑顔は俺へのしかえしの達成感か?
泣いた。
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