第十二問 『4回戦』

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「友里」 「ん、なに?」 「次の試合は棄権しよう」 「・・・」 俺は無言の友里から昇竜拳をくらった。 くらった勢いで後ろに倒れる。顎が痛い。 「一応理由をきいてあげるけどなんで?」 昇竜拳を決めたあとにきいてくるなんてな。・・・できたら決める前に聞いてほしかった。 「だ、だって俺にこの姿で3回戦に行けってことだろ?」 「それが?」 「それが?じゃねぇよ!俺はこんな姿晒したくない!」 いくら3回戦が一般非公開でも道のりや対戦相手には見られる。そんなのは嫌だ。 「そんなこと?大丈夫ー、似合ってるわよ。ね、真帆ちゃん?」 「うん、似合ってるよ!」 俺にとっては似合ってる似あってないより女装してることが問題なんだがな。 しかし、いつのまにか仲良くなったんだな。それはいいことだ。 「代表、さっきからなにやってるの?ーーって誰その綺麗な人?Aクラスにそんな娘いたっけ?」 工藤さんがやってきた。 「・・・友里、時間。この娘はFクラスの不知火裕介」 「え・・・、まさか女装趣味があったなんて思わなかったな」 一瞬にして工藤さんと俺との距離が変わった気がした。 「ほら、これが普通の人の反応だよ。これがさらに多くの人に言われたら俺のガラスの心が割れちゃう!」 「ほら、さっさと行くわよー」 コイツには人の話を少しはきいて欲しい。 俺の微かな抵抗も虚しく、引きずられながら会場に連れていかれた。 ・・・ 「えー。それでは、試験召喚大会3回戦を始めます」 はやく終わらしたい・・・ 今回の立会人は英語の遠藤先生だ。当然今回は英語が勝負教科だな。 「Hurry up!!」 俺は我慢できずに英語でせかす。 「では、召喚してください」 「「『『試獣召喚っ!』』」 俺らと対戦相手は喚び声をあげた。 『Aクラス  深水 真由美   英語   308点      &  Bクラス  古川 卓也        229点』 ふむ、余裕かな? 『Aクラス 椎名 友里   英語  427点      &  Fクラス 不知火 裕介        530点』
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