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時は移って五時限目、体育。
三人は男子のいない教室で制服から体操着に着替えていた。
「うちの学校の体操着ってさ、短パンがやけに短いと思わないか?」
杏が自分のふとももを見つめて言う。
「え、そうかな?」
林檎が返す。林檎はあまり気にしてはいないようだが、実際にこの学校の体操着、短パンがやけに短い。ブルマに裾を申し訳程度に付け足したようなものと言っても差し障りのないくらいだ。
「ざくろもそう思わないか? これだと座った時に下着が見えそうでな」
「え、あ、そういえば……少し恥ずかしい……かも」
ざくろもどうやら気にしていなかったらしい。自分の思考がおかしいのかと杏は顔をしかめる。
「じゃあ、パンツ穿かなければいいんじゃないかな?」
「ごめん、斜め上すぎてついていけない。っていうか、そうじゃないんだよ」
「……何か、あったの?」
ざくろの言葉を聞いて杏はどうしたものかと思考する。正直に言うか、いやそれは恥ずかしい。そんな妙に気恥ずかしさを気にする乙女心が杏の言葉をせき止める。
「その…………」
「んー? どうかしたの? 杏ちゃん」
林檎まで加勢してきた。ますます言いづらくなったし、同時にますます言わなければならない空気にもなった。
「大丈夫? 相談、乗るよ?」
ざくろが言う。その優しさが身にしみる。でも違う。そんな大それた事じゃないんだ。と、杏が目で語りかける。しかし当然ざくろが気づくはずもなく、結局言うはめになってしまった。
まあ、ざくろに林檎なら問題ないだろう。
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