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時は移って、二時限目。
この日の二時限目は国語。教室では国語の授業が行われているのだが。
その授業で、林檎は思い切り居眠りをしていた。
(林檎ちゃん……寝てる?)
居眠りをしている林檎を隣の席にいるざくろが発見する。今までの順番から推測するに、林檎が当てられるのは次の次。つまり、早めに起こさないと林檎が先生に起こられてしまう。なんとしても林檎を起こさなければ。と、ざくろは意気込む。
「筆者はまず結果と自分の考えを述べて、それから本文に入っているこれは……」
「……くー……」
とはいっても、どうやって起こそうか。体を揺する? だめだ。そんなことをしたら林檎の頭が机から落ちてしまう。ざくろは頭を横に振る。
(えっと……)
とりあえず林檎の頬をつついてみる。もしかしたらこれだけで目を覚ましてくれるかもしれない。
(あ、柔らかい)
指先が包まれるかのような感触。ざくろ自身初めて林檎の頬をつついたが、大福のように柔らかく、こんにゃくゼリーと負けず劣らずの弾力を持っている。
(気持ちいい……)
しばしその魅力的な頬に酔いしれる。それほどまでに触り心地のよい頬だった。
「統計ではランキングがどんどん下がっていっている。筆者はこれをふまえて……」
(はっ、いけないいけない)
はっと我に帰る。こんなことをしているわけにはいかない。早く林檎を起こさないと。
「じゃあ次。林檎」
タイムアップだった。林檎が指名され、林檎は指定された部分を読まなければいけない。が、当然林檎は寝ている。答えられるはずもない。
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