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午前中のテストが終了。
周りを見ればあちこちで背伸びしたりテストの出来について話したりしている。
私はというと特に不安なところは無いけれど話せるほど仲の良い人なんて一人もいないので先生がくるまで読書していた。
実はこの本を読むのはもう十回以上なので本の内容はもう全て暗記していたりしてる。
「(早く先生来ないかな…?)」
「て、ことでさ!!花見しない!?花見!!」
突然教室に響く声。
この声は朝から何度も聞いている大山君の声。
ちらりと本から目を離すと教卓に手をついた大山君とその背後の黒板に大きく書かれた『花見』の文字。
なんと豪快な字だろう……。
「(そしてテスト中死んでた目が生き生きしてる…)」
「花見といえばお菓子と飲み物!!」
「いや、勝手に決定してんじゃねーよ!!」
「大山人の話聞けよなー」
「自己中過ぎ!!」
クラスのあちこちから大山君へのブーイング。
でもみんな花見に賛成しているような感じはする。
それは多分、みんなの声色が怒気とかじゃなくて花見を楽しみにしているような響きだったからだと思う…。
「また始まったんだ…」
「!!」
「……あ、早坂さん。おはよう…」
「お、おはようございます…!!」
テスト終了とほぼ同時に寝ていた羽柴君が目を覚ます。
さっきまで下敷きにしていたスポーツバックに顔を乗せたまま視線を黒板の前にいる大山君へ。
ピンッと前髪の一部が上に向かって立ったままの羽柴君の髪型。
眠そうな目が若干呆れたように大山君を見ている。
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