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「それではこれから体育祭と文化祭について話し合いたいと思います」
学級委員長がそう言うとクラスが一気に騒がしくなった。
みんな仲の良い子同士で座席関係なく座っているから正直学級崩壊しているみたいにも見える。
……いや、決して本当に学級崩壊しているわけじゃないけど。
「お邪魔~」
「私達も来ちゃった」
「大歓迎!!丁度あたしの隣空いてるから座っちゃって」
野宮さんの隣の席の人は今廊下側の席に座っている。
戻ってくる気配はないので座っても大丈夫だ。
でもそうすると一人座れなくなってしまう。
私の隣は……羽柴君が座っている。
てっきり大山君達のところに移動するかとおもっていたのだけど違ったみたい。
「ちょっと湊、空気読んで席空けてよー!!」
「……読むも何も此処俺の席じゃん」
「レディーファースト精神!!」
「薦める所に最初から座っていた場合無効だろ、その精神」
二人共中学からの知り合いということもあってやり取りが凄く軽快だ。
私もいずれこんな風にやり取り出来るようになるのかな?
…………何十年かかるだろう。
「雫も何か言ってやってよ!!」
「わ、私が…!?」
羽柴君に意見?
…………。
無理無理無理!!
恐れ多くてそんなこと出来ない。
「……早坂さんも、オレが退いた方が良い…?」
羽柴君の方を見れば何だか凄く悲しそうな顔をしている。
悪戯がバレて説教された子供……もしくは親元を離れることになって寂しさを堪えているような雰囲気。
見ているこっちが罪悪感まみれになってしまいそうなくらい心に突き刺さる表情だった。
「ど、退かなくても……良いと、思います…」
「本当に?」
「はい」
「じゃあ、退かない」
途端にニコッと笑顔になる羽柴君。
その、表情の切り替えが早過ぎる。
「……羽柴の奴、雫の母性本能に上手くつけ込んだわね」
「ぬぬぬ…!!」
「本当、羽柴君って敵に回すと厄介なタイプよね」
そんな友人達の会話が後ろで展開されているなんて、私は知る由もなかった。
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