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結局あれから二十分以上スクールバックを持って教室前の掲示板を見ながら席が空くのを待った。
まさかあの数人が五分後に十数人に増えるなんて誰が想像していただろう。
少なくとも私は出来ていなかった。
「――…ん、何だ早坂じゃないか」
「あ……お、おはようございます…っ」
「検定でも受けるのか?」
振り向けば担任の高橋(タカハシ)先生が立っていた。
先生は私の挨拶に何も返さずすぐに質問をぶつけてくる。
……挨拶返してもらったことなんて高校に入って今まで無かったけれど、やはり返してもらえないと寂しいものだと思った。
「検定は…」
「確か早坂は情報系志望だったな」
「はい」
「なら今日配布の冊子が丁度情報系志望の生徒がとる資格について書いているから読んでおくと良い」
「……はい、ありがとうございます…」
まだ受けるとも言っていないのに話を終わらせられる。
HRが始まるまで時間がないのも理由にあるのかもしれない。
でも、きっと先生がこうやって話を切るのは…。
「……この前みたいなこと、今年もやろうだなんて考えていないだろうな?」
「………」
「後期末テストを問題を一つも解かずに提出して特進科から普通科に移動だけで済んだだけでも運が良いと思えよ」
「普通なら退学だってありえるんだからな」という言葉を聞いたのはこれで何回目だろう…。
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