居場所

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「返したうちに入んねーよ」 耳元でぼそっとつぶやいた。 「…っ」 …距離があと5㎝くらい。 神岬の息が結奈に触れる。 結奈は息を止めた。 ん…。 「おまえ何て顔してんの。 はやく帰るぞ。」 神岬は笑いながら ぶっきらぼうに言った。 「ちょっと…」 結奈はされるままに 手を引っ張られる。 …手なんか握ったの 何年ぶりになるだろう。 神岬の手はいつも あったかくて。 病弱だった 冷たい私の手のひらを あたためてくれてたっけ。 でも…。 「ちょっ。校内でこんなこと できない。」 2階の少し人が見える廊下に きたあたりで 力強く手を振り払った。
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