117人が本棚に入れています
本棚に追加
「返したうちに入んねーよ」
耳元でぼそっとつぶやいた。
「…っ」
…距離があと5㎝くらい。
神岬の息が結奈に触れる。
結奈は息を止めた。
ん…。
「おまえ何て顔してんの。
はやく帰るぞ。」
神岬は笑いながら
ぶっきらぼうに言った。
「ちょっと…」
結奈はされるままに
手を引っ張られる。
…手なんか握ったの
何年ぶりになるだろう。
神岬の手はいつも
あったかくて。
病弱だった
冷たい私の手のひらを
あたためてくれてたっけ。
でも…。
「ちょっ。校内でこんなこと
できない。」
2階の少し人が見える廊下に
きたあたりで
力強く手を振り払った。
最初のコメントを投稿しよう!