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嫌われた者
「…」
俺は帰宅して妹と話す気になれなかった。工房の焼け跡から魔法石を何とか全てではないが回収して家に帰った。
「シュウ兄さん…」
マリアが心配して俺の横に座った。
「少しの間、一人にしてくれないか?」
マリアにそういったがその場から動こうとせず俺の肩に寄り掛かって来た。
「誰があんなことしたのかな…?」
「分からない。」
正直誰がやったなんて分からなかった。ただ、誰かが俺の事を嫉んでやったということは分かった。
「明日からどうするの?」
「家でも出来るからたちまち家でする事にするよ。」
俺はマリアの質問に丁寧に答えた。
「分かったわ。」
彼女はそれだけ言うと俺の部屋からでていった。
『嫉みか、良く有ることだがあれはやり過ぎだな。』
俺は心の中で呟いてベッドに寝転んだ。そもそも何故嫉みと言う事が分かったのかというと、魔法を使う者は誰しも人の魔力の色を見分け事が出来る。そしてその色は、痕跡を残す。それに相手の感情で色が変わる。
例えば、俺の魔力の色は黄色だ。俺が冷静の時は黄色、怒った時はオレンジ色、嫉みを持てばオレンジ色に黒が混じる。嫉みのときは、黒色が混じるためすぐに分かってしまう。
それに相手の強さも分かってしまうのだ。俺の工房を燃やした奴はさほど強くなかった。
『コンコン』
俺の部屋のドアをノックする音がした。
「開いてるよ。」
俺がそう言うとマリアが部屋に入ってきた。
「ご飯出来たから来て。」
「分かった。」
俺はそう言って部屋を出た。
俺の家は晩御飯が早い。
「今日はヒヒ肉のステーキよ。」
ヒヒ肉とは、俺の住んでいる町外れの近くに生息している羊に似た生き物で、一般的にはヒヒとよばれているが中にはヒッポと呼んでいる地域も有る。ヒヒの肉は栄養が豊富で疲れを癒してくれる効果もある。
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