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数日後…
何時ものように朝起きると何だか外が騒がしかった。
「何だ?」
そう言って窓の外を見ると家の所々から煙りが上がっていた。
「火事?いゃ、魔物に襲われた痕跡が見える!」
俺は急いでショートソードを掴み外に出た。
「チッ!」
俺は舌打ちして走り出す。逃げ遅れた子供が泣き叫んでいた。
「おい!何があった?」
泣いている子供に声をかけた。
「分からない!分からないよぉ!」
泣きながら叫ぶ子供を抱き抱え家に行くとマリアが外にいた。
「マリア!この子を頼む!」
「分かったわ。」
マリアに子供を任せて俺は新しく煙りが上がった所に向かう。
「なっ!ブラスデーモンだと!?」
そこには悪魔のような姿をした魔物がいた。しかも十匹はいた。
「魔法を唱えられたら終だな…」
ブラスデーモンは中級くらいまでの魔法を使うことができる魔物だ。
俺は足をフルに使い、ブラスデーモンとの間合いを詰めて抜刀して切り付けた。
『グォォォッ!』
痛みに雄叫びを上げて膝をついた。
「チッ!浅い!」
俺は間合いを開けて呪文を唱えた。
《我が体内に宿りし雷の魔力よ、我が声に応えよ。疾く来たれ来たれ疾く。》
それに気付いたブラスデーモンが突進してきた、が。
《氷の針~アイス・ニードル~》
マリアが氷の魔法で足止めしてくれた。きっとさっきの子供を家に入れたのだろう
《そして幾千の雷を我が前に立ち塞がりし者にその力を示せ!》
呪文を唱え終わると俺の右腕に雷の魔力が集まり放電しているかのように纏わり付いた。
《幾千の雷光~サウザンド・ライジング~》
右腕をブラスデーモンに掲げて魔力を放出させた。すると、ブラスデーモンの頭上から幾千もの雷が降り注いだ。
『グォォォッ!』
断末魔の悲鳴に似た雄叫びを上げて数匹が倒れ込み動かなくなる。それを見たブラスデーモンはアタフタしだして森の奥へ逃げ出した。
「何とか退散してくれたが、また襲って来るかも知れないな。」
独り言のように言うと近くにいた少年が声を上げた。
「僕の家が…。」
「君の家だったのか…すまない、何とかするから…」
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