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「うるさい!何とかするってどうするのさ!」
俺が言いかけた事を怒鳴って遮られた。
「助けてくれたのは有り難いけど、家がなかったら生活出来ないじゃないか!」
理不尽なのか正論なのかは分からないが少年が叫んだ。
「…」
俺はただ黙り込むしか出来なかった。良かれと思ってやったことだったのに、少年を悲しませてしまった。
『こういう場合どうしたら良いのだろう…。』
俺は心のなかで自問した。
「俺の知り合いに大工がいるからなんとかしてもらう。」
「…」
少年は俺の言葉を聞いて黙って頷いた。
その日の夜…
「俺は、やはり兵士には向いてない。」
食事の後、マリアの前でボソッと呟いた。
「そんなこと無いわ!場所が悪かっただけよ!」
マリアはすぐ反論した。
「戦争はああいう事が付き物だって聞いたことがあるし、町や村だって被害を受けるものでしょ?」
マリアの言うとおりだった。しかし、何故か腑に落ちない。昨日の工房の火事と言い今日のブラスデーモンの奇襲と言い…
俺はわからなくなり頭を抱えてしまった。
「きっと答えが出ると思うわ!だからいつまでも落ち込まないで!」
つくづく俺よりしっかり者だなと心の中で呟いた。母さんにそっくりだ。
「分かった。」
俺は笑顔でそう言って自分の部屋に入った。
『俺は嫌われた者なんだろうか?』
ベッドに倒れ込みながらそう思った。
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