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鵺の身体の一部分が銀色の鋼へと変化していた。少年の言う通り、猿の特性。発動中は圧倒的な防御力を得る。
「ヘェヘェヘェ! やるじゃねぇか。まさかそう来るとは思ってなかったよ。失態だな、この己れが」
壮絶な笑みを携えて、言う。
「楽しくなってきたじゃねぇか! 左足と左腕が潰されたんだ、これで少しは良い勝負になるんじゃねぇのか!?」
未だに得物を使っていない少年は、心底嬉しそうに高笑いする。赤と青の瞳もギョロギョロと動き、不気味なことこの上ない。
「こっからは、ちったぁ本気で行くぜ。己れは風絶。風系の絶技を使える数少ない存在なんだからよ!」
一つしかない眼が爛々と輝く。少年の右腕は何か得体のしれない風に覆われていた。
いや、解る。
アレは、彼らしか使えない技。
一介の存在がその技に触れれば、勝ち負けの問題ではなくなる。生きるか死ぬか。殺すか殺されるか。消えるか消されるか。
いずれにしても、少年の腕に巻き付く螺旋状の魔力は絶技のそれだった。
『……………』
「鵺が脱皮か……。己れの絶技の前じゃ無意味だと思うけどな? それとも何か。あの巨大な白蛇に敬意でも評してんのか?」
蛇の特性を活かした鵺の脱皮を見ても、少年は見下した視線を貫いたままだった。
「双月の魔獣の片割れか。しかも、己れが大ッ嫌いな方だしよ。こりゃ本格的に消し飛ばすか」
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