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ブラックファントム
あたしは物心ついた時からひとりだった。
幼くして孤児院に連れてこられ、そこで人に媚びへつらう術を学んだ。
大人なんてみな同じ顔。その内側なんて全てが闇。
子供だって大人になれば同じように黒く染まってしまう。
だから友達なんてイラナイ。
そんなあたしの前に立って、いつも心を揺さぶり続ける邪魔な男の子が三人いたっけ。
今じゃ名前も思い出せないけど、あたしはそんな彼らも信用する事は出来ない。
だってもう大人だから。あたしも、彼らも。
時間は容赦なく過ぎて行く。それは悲しむべき事じゃない。むしろ喜ぶべき事だ。
あたしが画家だった養父母に引き取られて行くその様子を、彼らだけが涙で送り出してくれた。
あの人たち。元気かな……
あたしは今、世界をも動かす力の中にある。
たったひとつの駒。
キングにもルークにもなれないただのポーン。
それでいいんだ。居場所さえあれば。
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