ブラックファントム

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「ビーナス。仕事だ」  そうマーキュリーに呼ばれて、あたしはジュピターの前に立った。  ジュピターの横には、参謀のサターンもいる。 「ビーナス。今回の仕事だが、マフィアのボスを誑し込んで、ブラッドストーンの保管場所を聞き出し、それを奪ってきて欲しい」 「御意」 「一応、用心棒としてマーズも付ける。マフィアのボスの情婦となって、連中が隠し持っているマヤの遺産の在り処を探るのだ」 「お言葉ですがジュピター。わたしひとりで十分です。マーズの援護など必要ありません」 「わたしの命令に不満があるとでも? 」 「いえ、そのような事は…… 」 「そうじゃ。お前は我々の意志に従っていればよいのじゃ。解ったらさっさと行け、ビーナス」 「…… 御意」 「期待しているぞ。ビーナス」  あたしはジュピターたちの前から退いた。
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