ブラックファントム

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今回の仕事。  マフィアのボスに近付き、その女となって情報を引き出す事。  女のあたしにしか出来ないミッションだ。  情報さえ聞き出せば、あとは始末すればいい。  闇の住人がひとり増えるだけの事。悲しむべき事じゃない。  あたしほどの腕で仕留められない獲物なんか存在しない。  荷物の整理しているあたしの部屋の戸をノックする音がする。  開くとそこにはマーズとマーキュリーが立っていた。 「ちょっといいか」 「ええ、どうぞ」 「実はな。今回のミッションにはクルースンを連れて行ったらどうか、と思うんだ。君はどう思う? 」 「クルースン? あの見習いの子? 」 「そうだ。君さえよければ進言しようと思うんだが」 「勝手にすれば? あたしはジュピターの命に従うだけよ」 「そうか。邪魔して悪かったな」  二人の去り行く背中を見送って、あたしはドアを閉めた。
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