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どれほど走っただろうか。
建物から出て、船着き場へたどり着く。
ここにまで炎は燃えさかり、海上に埋め立てられた土はひび割れ、今にも崩れてしまいそうだった。
一刻の猶予もない。
少年は適当なボートに飛び乗り、錨を巻き上げる。
すぐに動かせるように整えてから、どうやってボートに乗ればいいかわからず、右往左往している少女に手を差し伸べた。
「さぁ、早く!!」
少年の手をつかもうと、少女が手を伸ばした…その瞬間。
「っあ…!」
少女の足下が大きく揺れる。
ばきばきと大きな音を立てながら、人工的に造られた足場は崩れ始めた。
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