プロローグ

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「掴まれっ!」 さらに手を出し、なんとか少女の手を掴もうとする少年の行為も虚しく、少女の体は大きく揺られて、定まらない。 一瞬だけ、少女は何かを諦めたような表情を見せ、少年の顔をしっかりと見据えた。 何か言葉を紡ごうと唇が開かれる。 「────!!」 その言葉は轟音に紛れて、少年の耳には届かない。 もしかしたら、揺れる体を支えきれず、少女も口を開いただけだったのかもしれない。 足下は完全に崩れ、割れた隙間から海水が噴き出す。 ──少女の姿は、島ごと海の中へとかき消えていった…。
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