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披露宴では淡いピンク色のドレスに着替えた望と俺は、盛大な拍手の中で会場へと入っていった
「皆様…本日は四宮充、望…御両名の結婚披露宴へと御参列頂きましてありがとうございます。本日の司会は私、広瀬奈美が務めさせて頂きます」
俺達が席に着いた絶妙のタイミングで司会の壇上から自己紹介をする奈美
まるで流れ出す様な言葉に俺は感嘆の声を漏らした
奈美がラジオのパーソナリティだと気付いた様子の参加者はこそこそと話をしている
「気付かれた方もいらっしゃるとは思いますが、私はFMKラジオのパーソナリティをしております。本日は御二人との縁がありまして司会をさせて頂いております、どうぞよろしくお願いいたします」
周囲の様子を見た奈美はすかさずアピールを入れる
相変わらず抜け目がない女性だ
それから俺の友人達の賑やかな余興があり、和んだ雰囲気の中で奈美はマイクを握る
「それでは…皆様御周知の事だとは思いますが、デビューアルバムが今週のオリコンチャートで1位を獲得した新郎新婦に一曲、歌って頂きたいと思います。」
予定にないプログラムに、俺は飲んでいたシャンパンを吹き出した
望も驚いた表情を浮かべながら俺が吹き出した飲み物をハンカチで拭いている
奈美はこれを計画に入れていたようで、小さなステージには借りてきたであろうギターが運び込まれた
周囲からの反響もあり、俺達は引き下がる事は出来ずに仕方なくステージへと上がった
恐らく奈美は全部計算していたのだろう。
こんな状況になれば俺達は断る事は出来ないと分かっていたから…
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