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お互いに顔を見合わせた俺達は参加者の方へ目を向ける 何時もはパンツスタイルで演奏をする望も今日はドレスを着ていて足を組んで演奏など出来ない。 そこで今日は俺一人がギターを弾く事にした 歌ったのは前日発売したアルバムに収録し、ドラマのエンディングにも使用されたバラード。 俺は望の為に、望は俺の為に歌う…そんな感じの曲で今の俺達にはぴったりの歌だった 「―――素晴らしい歌、有り難う御座いました。まさに新たなスタートを迎えるお二人を象徴する一曲でした、それを記念いたしまして今一度、キスをして頂きたいと思います。」 ただでさえ打ち合わせとは違う奈美の進行は本来のレールを大きく脱線し、無茶苦茶な方向へと走り出していた 「な、無茶ぶりだろ!」 俺はギターを置いて反論しようとするも、周囲からは大きな手拍子と共にキスコールが沸き起こった その中心にいたのは姉の遥。 結構飲んでいる酒のせいもあってか、ずっとテンションは最高潮になっていた 「人前で何回もするか…よ…っ…」 溜め息混じりに再び反論しようとした時、細い腕を俺の首に回した望が思い切り唇を押し付けてくる 周りが冷やかす様に口笛を吹いたり拍手をしたりとする。 望は腕に力を込めているため離す事が出来ず、10秒近くも俺達は口付けをしていた
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