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望は唇を離すと皆の方へ向き直ってマイクを使わず、大声で話し始めた
「私は、四宮充の事を世界で一番愛しています。偶然が重なった様な私達の出会いも今なら必然だったと思えます…あの日、彼と出会えて本当に良かったです…もし充と出会わなければ今の私は居ません。」
有りのままの思いを語った望は思い切り息を吸って叫ぶ様に吐き出した
「私は今、幸せです!…これからも充と一緒なら、私はずっと笑って生きていけます!」
彼女の改まった告白に対し、俺を始めた会場全体が静まり帰った
たった一人を除いて
「ひゅー、私も望ちゃん大好き!」
珍しく酒に酔った姉が覚束ない足取りでステージに上がって、両腕で俺と望を抱き寄せる
「…姉貴、酔ってるな……けど、俺も大好きだ…姉貴も、望も。」
酒臭い姉の息に溜め息混じりに言葉を漏らすも、自分の素直な気持ちをさらけ出す
「よしよし、充も正直に言ってくれてお姉ちゃん嬉しいよ…」
酔った姉が俺の頭を乱暴に撫でると、限界を悟った母が姉をステージから引き下ろしてテーブルへと連れ戻して行く
「お二人の愛の深さ、御姉様の弟を思う気持ち…痛いほど伝わりました。…それでは四宮正様、侑様…壇上へ御上り下さい。」
頃合いを見計らった奈美が次のプログラムへ移行すると、俺の両親がステージの上に登ってくる
それと同時に俺達に駆け寄ってきた式場のスタッフが俺と望に花束を手渡す。
俺は、ステージの上で向かい合わせになった両親に一歩近付き、望は小さい歩幅で二歩近付いた
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