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生放送の日、俺達は茜に連れられてテレビ局のスタジオに入った
本番まで二時間もあるので、楽屋に入って綿密に打ち合わせをしていく
「ねぇ…やっぱり恥ずかしいんだけど…」
ギターを壁に立て掛けた望は椅子から立ち上がって俯くように視線を落とす
「今更なに言ってんだよ、似合ってるって何回も言わせるなよ」
服を買ってきてから何度も繰り返しているやり取りに、俺は思わず苦笑を漏らしながら彼女を見詰める
「……俺以外の奴に見せるのが勿体無い位の格好なんだ、自信もっていいんだぜ?」
相変わらず俯いている望の頭をそっと撫でて、顔を覗き込むようした俺は微笑を浮かべる
「充がそう言ってくれるなら今回は頑張る…次からは貴方の前だけで着てあげるからね。」
俺に釣られて笑顔になった望は少し悪戯っぽく呟いた
「ありがと。」
漸く吹っ切れた様子の彼女を見て一安心した俺は溜め息を漏らした
「失礼しますっ、そろそろ舞台裏の方に移動して貰えますかっ?」
楽屋の扉をノックしてから顔を覗かせた茜は腕時計に目を向けながら告げる
準備を済ませていた俺達は、直ぐに茜と共に楽屋を出た
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