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「こんな所で会うなんて、もしかして運命?」 近寄ってきた男は同じ番組に出ていたビジュアルを売りにしたバンドのボーカル。 先ほどの番組の中で私が使った運命というワードを使ってキザな台詞で声をかけてくる 私は彼らみたいなビジュアル系バンドはあまり好きじゃない。 特にビジュアルだけでファンを増やしている彼のバンド、はっきり言って私は嫌いだ 歌も御世辞にも上手いとは言えない 「…それがどうしたの?」 嫌いな相手の為、私の口調は意識しなくても棘を含んだものになっていた 「いや、折角だしご飯に誘おうと思ってさ」 チャラチャラとした態度で彼は私との距離を徐々に詰めていく 「近寄らないで、私…貴方みたいなタイプの人は一番嫌いなの。」 こんな人間は私の経験上しつこい奴ばかりだ。 だから私は二度と近付かない様にとはっきりと告げた 「なにそれ、充…だっけ?…あんな奴よりも俺と居た方が楽しいしさ…それに俺、かなりイケメンだろ?…付き合って損はないし。」 私の言葉などには聞く耳を持たずにペラペラと彼は喋り続ける その中で"奴"は私の中の地雷を踏んだ 「あんな奴…ですって…?……充は、私の大切な人なの!アンタみたいな奴と彼は全然違う!…私は死んでもアンタみたいな奴は好きになれない、何度生まれ変わっても充の側に居たい!」 ぐっと強く拳を握り締めた私は大声を出して叫んだ。 周囲の人からすれば笑われてしまう様な内容だけれど私はそんなのは気にしなかった 別に誰に聞かれても恥ずかしくなんてなかったから。
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