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「ごめん、嫁さんが家で待ってるから帰らないといけないんだ。」
以前の俺は食事だけになら普通に行っていた。
けれど今は、望という大切な存在がいる
恐らく今日も食事を用意して俺を待っているだろう
その為に何時も、仕事が終わると直ぐに帰宅していた
「それは知ってます、けど…お礼くらいさせて下さい」
俺の説明を聞いても麻友は引かず、顔を上げて真っ直ぐな視線を向ける
「じゃあさ…明日、缶コーヒー奢ってくれよ」
どうしてもという彼女に対して、俺は人差し指を立てて1つ提案をする
「それで…いいんですか?」
「俺は傘を貸しただけ、別に大した事はしてないし…コーヒー奢って貰えれば十分過ぎるお礼だしさ」
俺からの提案に意外そうな表情を浮かべる麻友に、俺は微笑を浮かべながら小さく頷く
「四宮さんって凄く素敵な方ですね、奥さんが羨ましいです…」
頬を赤く染めた麻友はどこか恥ずかしそうに言葉を紡いだ
「ありがとな、それじゃあまた。」
すっと踵を返した俺は、小さく手を振ってからその場を後にした
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